本作は、祈りの場において「糸を巡らす」という行為により

【 縁 】を表現した作品です。

 

古来より糸偏を使った漢字には、人と人を繋いでいく、あるいは続けていく意味が含まれたものが多く存在します。

　

「 絆 」（きずな）

「 続 」（つづく）

「 組 」（くみ）

「 縁 」（えん・えにし）

「 結 」（むすぶ）

「 終 」（おわり）

 

今回のテーマである【 縁 】もそのひとつです。

 

では【 縁 】とは何か？

 

私は、【 縁 】を「物事を一方から他方へ渡すこと」から始まり、そのことを互いに繰り返すことで多様な形を生み出していくものと捉えました。

 

タイトルにある「那由多」は、元々は仏教用語で、サンスクリット語の「ナユタ」を音訳した、「極めて大きな数量」という意味を持つ言葉です。

 

【 縁 】は、私たちの命を乗り越えて広がっていきます。さまざまな土地から縁あって偶然にこの場所へ集まったパスカルの蝶たち。那由多に比べればその数は、ごくごくわずかです。しかし、ひとりひとりの過去を振り返る時、気の遠くなるような縁が連なり、今ここに蝶たちがいることに気づきます。

 

那由多の【 縁 】に包まれた蝶たちの響き合い、その声にどうぞ耳を傾けてみてください。

 

｜会場構成プロデュース  |  木村奈央

｜企画運営 |  アートユニット 一 朶 （木村奈央  木村史乃  高橋ユミコ）